グルーポンは「近江商人」でなければ成り立たない

 グルーポンの正月のおせち騒動は大きく報道され、消費者庁や神奈川県など役所をも動かす大きな事態となった。そのクーポン共同購入サイトだが、関係者は「広告主と消費者が、サービスをもっとうまく見極めて使わなくてはいけない」と警告する。急拡大中の市場だけに、現在はそうした躓きが明るみとなっている格好だ。

 まず、消費者から広告主に「二重価格ではないか」という問い合わせが最近はよくあるそうだ。これは、クーポンサイトで提供する同じ商品を、広告主が違った価格で提供していることを指す。ここでは固有名詞は挙げないがこうした例はいくつかあるようで、消費者も安いというだけで飛びついてはいけないのは言うまでもない。正規の価格がいくらかを自分で先に調べた方がベターだ。

 また、広告主側も新規顧客を獲得したいものの、リピーターばかりが割引に釣られて来る
というケースもあるようだ。USトイという玩具小売業がグルーポン、20ドルのおもちゃ券を2800セット半額の10ドルで提供したところ完売。取り分はグルーポン5ドル、USトイ5ドル。そして、買い物客はほとんど既存客だったそうだ。あるいはリピートしないという店舗もあるそうだ。

 そしてなぜか、クーポン事業者側も、ユーザーサービスはなぜかアマゾンかハーゲンダッツのギフト券になってしまいがちという面がある。これに早くも飽きているユーザーもいる。

 ネット上のビジネスモデルだが「営業力がなければ成り立たない」というリアルな側面もあるこのビジネスモデル。近江商人の心得である「売り手よし、買い手よし、世間よし」でなければ成り立たない。

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