ユーロ相場の地雷原「ポルトガルは大丈夫か?」

 ユーロ圏の債務危機問題が深刻化している。11日には欧州中央銀行(ECB)がポルトガル国債の買い入れを実施したことで、国債の利回りが低下した。ただし、対処療法だけでは、根本的な問題は解決しない。市場では、「ポルトガルが世界的な支援要請に追い込まれるのではないか」との観測が広がっている。

 ECBはポルトガル国債と同時に、ギリシャとアイルランドの国債も買い入れた模様で、ユーロ圏周辺国の金利は一斉に低下した。ポルトガルは12日に総額12億5000万ユーロの5年、10年債の入札を行う。ECBの買い入れはこれを支援する形となり、入札は順調に消化されるのではないかとの観測が強い。

 ただし、ポルトガル国債10年物利回りは、依然として7%を上回る高水準で、これをいつまで持続できるのかは不透明だ。ポルトガルの2010年の財政赤字の対GDP比率は7.3%となり、09年の9.3%に次ぐ高水準となった。緊縮財政は、2011年の景気をさらに冷え込ませることも懸念される。

 ソクラテス首相は「ポルトガルは救済を必要としない」と強調するが、市場に根強い支援要請観測は消えない。10年物利回りの7%という水準は、アイルランドが支援要請に追い込まれたのと同じレベルだ。仮に今回の入札を乗り切っても、次は4月に国債の大型償還という関門が控えており、ユーロ圏の債務問題はなお予断を許さない。

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