フランスで売買されるシャトーの実態
「売りに出ているお城は少なくはありませんが、本当にお城といわれるに相応しいものはあまりないと思います。これは、状態に関してですが。古城について詳しくない方には意外かもしれませんが、例えば15世紀、16世紀に建てられたような古いお城で、すぐに住むことができるものはほとんどないと思った方がいいです。床がなかったり屋根がなかったりと…お城によって程度は全く異なりますが、かなり改装が必要な場合がほとんどです。
古いものになると、改装するにしても国からの許可が必要で、中には許可を取るまでに数年かかるものもあります。だから購入の際は、よく吟味するべきです。完璧なお城ももちろんあるとは思いますが、それは前の所有者のメンテナンス次第ですね。」
―まずどうやって探せばよいのでしょうか?
「ターゲットにする場所がある場合は、ある程度ネットで調べることができます。実際に現地を訪れて、購入したいエリアのエージェントをあたるのも良いと思います。」
―良い古城の見分け方はありますか?
「良い悪いは個人の判断ですが……。古いお城の多くは “Middle of nowhere”(人里をはるか離れたところ)で、何をするにも不便なことがたくさんあるので注意が必要です。都心から近からず、遠からず。適当な距離であることは大切ですね。」
購入時に見落としがちなのは維持費
現在、フランスの古城は比較的価格が安くなっていて、パリでマンションを買う値段で購入できるといいます。例えばフランスで、16の部屋と1000平方メートルの生活スペース、伝統的な庭園付きの15世紀の城を購入する場合。値段は約80万ユーロ(約1億560万円)で済むそうです(これはフランスの城の平均的価格)。30~40万ユーロ(約4000~5300万円)でも小規模な城なら購入できます。都市部の地価が高騰する中、富裕層にとっては格安品と見られるようで、衝動買いする方も多いそうです。
このように、購入自体は決してハードルが高いというわけではないようです。しかし購入後に出てくる問題として、城の維持費があります。前述のように床や屋根などあちこちに修理が必要な場合や、膨大な維持費の他に年間2万リットルの暖房用燃料が必要な場合もあります。特に長い年月空き家だった場合、修理をあきらめてまた売りに出されることもあるそうです。また何百年も一族で所有していて、大切な財産となっている場合でも、財政的負担のために手放されることもあるのが実情です。