中国のスイーツ最前線を走る日本人パティシエ

現地在住フランス人が絶賛する岐阜の名店の味


 「上海でいちばんのパティセリーは『シェ・シバタ』」

 中国最大の国際都市で食品ビジネスを手がけるフランスの友人が、ある日本人を絶賛した。彼に限らず、現地に駐在するフランス人の間で話題だとか。その名は柴田武。とはいっても、関東地方でその名を知る人は少ないかもしれない。拠点は出身地でもある岐阜県多治見市。神戸やパリで修業した後、美濃焼で知られる地元に20代で自身の店をオープンした。その後名古屋に進出し、東海地方では知る人ぞ知るスイーツの店となった。

 特長は、素材への徹底したこだわりと柔軟な発想によるところが大きいだろう。たとえば、塩味のバターをトッピングしたエクレア、本場のチョコレートと日本の新鮮なフルーツの組み合わせたケーキなど、ありそうで他では見られないオリジナルメニューが並ぶ。

 中国への進出は2009年。紫雲西路に店舗を構え、上海っ子だけではなく、世界でもっともデザートの味にうるさい本場の舌をもまたたく間に魅了したわけだ。現在は上海のほか、香港にも店舗を構える。

 「日本のスイーツの水準は高い」と、日本在住経験もある先のフランス人社長は語る。同時に「中国はまだまだ遅れている」と。柴田氏自身、良くも悪くも飽和状態の東京よりも先駆者のいない中国に可能性を見出しているようだ。

 工業製品では劣勢を強いられている日本。今後は料理も含め、広い意味でのコンテンツで勝負をかけるべきだろう。そして、東京を経由せず、地方から直接飛び出す可能性も充分にありそうだ。

シェ・シバタ

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