人民元のスローな上昇ペースにじれる米国

 ガイトナー米財務副長官は12日、中国の胡錦涛国家主席の訪米を前に、「中国は人民元相場を依然として綿密に管理している」との見解を示した。2010年6月の弾力化表明以来の人民元の上昇率は3%にとどまっており、上昇スピードの加速を催促した形。今後の中国側の対応が注目される。

 18日から予定されている胡錦涛主席の訪米を控え、足元では人民元が上昇。12日の上海外国為替市場では、人民元相場が1ドル=6.6038元で引け、前日比0.24%上昇した。中国は元安批判を回避するために、今後も人民元の上昇を容認するとみられる。

 ガイトナー副長官はまた、「中国が一段と速いペースで人民元の上昇を容認しなければ、中国国内のインフレを加速し、過度な資産価格上昇のリスクが増すだろう」とも述べた。

 実際、中国はインフレ懸念の鎮静化に動いており、昨年12月25日には0.25%の利上げを行った。消費者物価指数(CPI)上昇率は加速傾向にあり、11月には前年同月比5.1%上昇。特に食料品価格の急上昇は、社会不安を膨らませる可能性があり懸念される。

 中国人民銀行は急速な人民元高を回避するための人民元売り介入を続けており、これが国内に過剰流動性を発生させ、インフレリスクを増幅させているのは事実だ。

 中国外務次官は12日、胡主席の訪米に関して、「米国が中国経済の状況に高い関心を持つことは理解できる。共通の関心テーマを意見交換する可能性がある」と述べた。人民元問題が首脳会談のテーマとなる可能性もあり、中国の今後の対応が注目される。

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