「親会社の物件引き取り用ごみ箱」リートはダメ

 17日の東証リート指数は午後から調整の動きとなり、1133.55(-13.02)と安値引けとなったが、依然として昨年の終値1130.70は上回る水準。昨年9月の900ポイント付近からの上昇基調を維持している。ただし、個別銘柄をみると、騰落率にはかなりの開きがある。J-REITもしっかりとした銘柄選びが肝心だ。

 昨年12月末の東証リート指数の引け値は1130.70となり、前月末比101.70ポイント上昇した。月間ベースでは4カ月連続の上昇。日銀が12月16日に初めてREITを買い入れ、今後も追加購入が想定されることが需給面で相場を下支えした。

 ただし、個別物件の騰落率には、かなりのバラつきがみられる。12月の1か月間でみると、たとえば「ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人(+21.6%)」や「アドバンス・レジデンス投資法人(+21.1%)」など2割以上上昇した銘柄がある一方、「プレミア投資法人(+0.9%)」「日本ビルファンド投資法人(+2.0%)」など、わずかな上昇にとどまった銘柄もある。

 上昇の鈍い銘柄は、その時点で日銀の買い入れを十分に織り込んでいたなど、相場の綾もあろう。単月の動きで、銘柄の優劣を判断することはできない。ただし中長期的に見れば、基本的にファンダメンタルズで銘柄の淘汰が進んでいると言える。

 不動産コンサルタントの長谷川高氏は、投資不適格なリートかどうかを見分けるポイントして、1)新規の物件取得を親会社やその関連会社のみから取得していないかどうか、2)分配金が安定せず、大量増資などで少数の株主に不利な運営をしていないかどうか、を確認すべきだと指摘する。

 リート投資の重要なポイントは、親会社ではなく、個人投資家のことを考えた、コンプライアンスの効いた運営を行っているかどうか。「『親会社の物件引き取り用ごみ箱』のようなリートの選択だけは避けるべき」(長谷川氏)。銘柄選びの参考としたい。

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