吉野家などを展開する吉野家HDは18日、伊藤忠商事から発行済み株式約20%(140億円)を東証の自己株式立会外買付取引で取得した。低迷する吉野家を切り離したい伊藤忠と、より機動的な経営をしたい吉野家との、皮肉にも「相思相愛」の取引が実現した形だ。
この取引によって、ザラ場がスタートしてから吉野家HDは一時、前日比4600円高の11万500円の年初来高値をつけた。吉野家は中国展開に関しては、連携が縛りになっていた面もあったようで、今後の機動的な自由度の高い経営がやりやすくなりそうだ。
また、一方の伊藤忠は、収益力の弱い吉野家HDを切り離すことで、資金を他の事業投資に使うことができるなどのメリットがある。株価は小幅反発にとどまっている。
この取引は、商社全体のM&Aを見直す機運が高まるきっかけとなるかもしれない。