中国の不動産価格の上昇が止まらない。2010年12月の主要70都市の不動産の販売価格は、前年同月比で6.4%上昇。前月比は0.3%の上昇で、これで4カ月連続のプラス。政府が不動産価格の抑制策に躍起になっているにもかかわらず、価格の上昇は止まっていない。
14日には物価上昇圧力の抑制を目的に、中国人民銀行は預金準備率を0.5%引き上げた。また、中国政府は昨年、不動産の初回購入者の頭金比率を引き上げるなど、不動産市場の過熱を抑える施策を実施。それでも下がらない住宅価格の上昇を受けて、一部の都市で今後、固定資産税を導入したり、高級住宅に不動産税を導入したりする方針が浮上している。
背後にまだ膨大な住宅需要がある途上国であり、労働者の賃金も上昇しているため、一概に〝住宅バブル〟と断じることはできない。あくまでも実需型の住宅が中心であり、家計のレバレッジ(家計借入/GDP)が低いなどの点は、日本のバブルとは異なる。
ただし一部では懸念も膨らんでおり、「一部の地域で、不動産市場は全面的な調整局面に入る可能性がある」(徐紹史国土資源相)、「中国政府の不動産価格抑制策への決心は高く、上海などバブル感がある大都市では、不動産価格が20~30%下落するだろう」(HSBCの屈宏斌主席エコノミスト)などの声も聞かれる。