年始のマーケット予想を信ずる者は救われない

 年末年始になると、新聞やマネー雑誌等には今年のマーケット予想が百花繚乱花開く。年中行事と言えばそれまでだが、1年先を見通すのはなかなか困難。勢い「年前半は神経質な展開で、年後半には堅調」など、当たり障りのない予想が並ぶ。これについて、太田忠投資評価研究所の太田忠社長の評価はさらに手厳しい。

 同氏はこの種のアンケート形式による予想について、次のように分析する。

1)代表者による回答は、ほとんどの場合、本人が回答していない。広報や担当部署によって作成され、当たり障りのない回答ばかり。「外れても言い訳をしなくて済む」「本人が恥をかかない」というところに落ち着く。

2)「1年間の株式マーケットの推移は?」との問いの場合、答えは判を押したように「年初は低調だが、年末に向かって上昇する」というパターンになる。時間の経過とともに状況は改善するだろうという、人間として極めて素朴な希望的観測を表明しているものが多い。

3)新興市場においては、有望な企業が業績不振となり、株価が暴落するケースが多い。「活躍ができそうな銘柄」は今現在の環境下ではそうかもしれないが、「ちょっと風向きが変わったら」というところまで予想して回答することは困難。

 また同氏は、「状況が変われば、君子は豹変するのが正しい」とも説く。年末・年始のマーケット予想は、少し眉に唾をつけて読むくらいがちょうどよいのかもしれない。

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