人気エリアは時代とともに変遷する
高級住宅地といえば多々あるが、東京であれば「松濤」」「小石川」「南平台」郊外では「田園調布」「成城」などが定番。
ただし、長谷川不動産経済社の長谷川高代表は、「これからマンションを購入する年齢層である30~40代は、こうした古くからある高級住宅街の過去の歴史にはあまり関心がない。今後は職住にプラス『遊』の要求を満たすエリアの人気が高まるだろう。たとえば『広尾』『麻布』『代官山』『恵比寿』『中目黒』『青山』などだ」と語る。
もちろん、どちらを選ぶかは個人の好みの問題。ただし物件価値の維持を基準にするなら、今後10年~15年後も高級住宅街でありうるかどうかという視点が大切だというわけだ。そのためにはOFFを楽しめる感度の高い環境も必要。「人口減少社会にあっては、これまでの高級住宅街の中でも選別が進み、人気エリアの世代交代がすでに起きている」(長谷川氏)。
そもそも古くからある高級住宅街は戸建てが中心で、まとまった土地が必要なマンション建設には不向きなエリアが多い。勢いマンションの立地は閑静な旧高級住宅街よりも都心エリア、さらに最近では大型タワー物件が建てられるような限定的なエリアとなる。
ただし、「『ここはまたと出ない、希少価値のある立地です』というのは、営業トークであることが多い」(長谷川氏)。実際、毎年新しい億ション物件が続々と建設される現実がある以上、東京の大邸宅、社宅、国有地の公官庁宿舎などの〝スクラップ&ビルド〟が、すぐにも終焉するということはなさそうだ。