中国・追加利上げの公算、人民元上昇容認か

 中国では景気加速でインフレ圧力が強まり、追加利上げ観測が強まっている。労働コストの上昇に加えて、足元では野菜価格が高騰。中国人民銀行による再利上げ観測は、海外からの金利差狙いの資金流入を促し、人民元を押し上げる。また、物価抑制を重視する当局は、人民元の上昇を容認せざるを得ない可能性がある。

 1月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は、2カ月ぶりに5%を突破する可能性が高い。北部の干ばつ、南部の寒害が長引き、野菜など農産物の生産におきな影響が出ている。

 また、最近の物価上昇が天候不良などの一時的な要因でだけでなく、景気の再加速が示す通り、需要の強さによる部分が大きくなっていることを踏まえると、時間の経過とともにインフレ鎮静化を期待することはむずかしい。

 伊藤忠商事の三輪裕範・調査情報部長は「もはや人民銀行は、実質預金金利がマイナスの状態、すなわち消費者物価上昇率を下回る預金金利の水準を許容することは困難であろう。今後は利上げのペースを速める可能性が高い。また、物価上昇抑制のため、人民元相場の一段の上昇をも容認せざるを得ない状況になったと言える」と述べている。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる