円はどうして安全通貨なのか?

 エジプト情勢の混乱を受けて市場が荒れた週明けの31日、外国為替市場は円高の動きとなり「エジプトの政治混乱を受け、安全資産とされる円が主要通貨に対して買われた」と報道された。国債が格下げされたにもかかわらず、「日本は世界で最大の債権国である」ことが、円が安全通貨とされる理由らしい。

 一昔前、安全通貨と言えば、スイス・フランの独壇場だった。また、このように国際政治が不安定になった場合には「有事のドル買い」と言われ、米ドルが買われていた。しかし、最近では円が安全資産とされている。

 昨秋の円高局面でも、日銀の白川方明総裁が円高の要因について、「不確実性が高まる中、投資家のリスク回避姿勢が強まり、円やスイス・フランなどの安全資産が買われている」と指摘している。

 では、円はなぜ安全資産とされるのか? 『1ドル50円時代を生き抜く日本経済』(朝日新聞出版刊)を著した同志社大学の浜矩子教授は「なぜドル安あるいはドル高修正を受け止める器として円が選ばれるのか? それはユーロの機能不全だけではない。円高は、それだけ日本が成熟した債権大国になっていることの表れと言える」と解説している。

 「やせても枯れても、日本は世界で最大の債権国である。経済規模は中国に抜かれたとしても、純貯蓄の規模という意味では、日本が今なお世界最大の国である。この実態を背景に、減価していくドルから逃げ出した世界の資金が円に注ぎ込まれ、ドル安の影響が円に集中することになる。円高が進むということは、それだけ円の存在感が為替市場において大きいことを意味している」(浜氏)。

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