八百長問題の原因は「十両」にある?

 日本相撲協会が6日、3月の春場所開催中止を決定したことは、BBC、ウォールストリートジャーナル、AFPなど海外主要メディアもこぞって発信するまでになった。原因は「八百長」にあるのだが、なぜこうした不祥事を招いたのか、現場記者の話をまとめながら考えてみた。

 今回の名前が挙がっている対象者の番付は共通している。それは「十両」だ。これは、力士でいうとやっと一人前と認められる地位で、日本相撲協会から給料も出る上に、部屋から付け人も2人与えられる。

 しかし、その下の幕下までは給与はなし。十両で103万円。天と地ほどの待遇差があるのだ。「幕下ではまず家庭は持てません。引退しても、なかなか仕事はありません。地元で後援会なども、十両以上にならないと、なかなかお金も集まりませんし、それこそ天と地ほど違います」と相撲記者。

 2001年7月の名古屋場所で奇妙な光景があった。千秋楽で、9勝6敗で8人の星が並び、史上初の8人による優勝決定戦が行われたのだ。「偶然にしても、8人の星が並ぶことはあり得ないだろう。どう見ても、9勝という優勝ラインは低すぎるし」と当時の担当記者は話した。

 当然、十両で優勝すれば、幕内に上がる。そうすれば、さらに給料も上がる。だが、同時に「十両と(その上の)幕内は全然、力が違う」(元十両)ともいう。幕内と十両を往復する力士も少なくはない。

 そうだとしたら、十両というトラの子を守りたい、と考えるようになっても不思議ではない。

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