日本がプライベートジェット先進国になる日(後編)

日本では珍しい「フラクショナル・オーナーシップ」

 アメリカでは「フラクショナル・オーナーシップ」という、飛行機の所有権を全くの他人同士で共有するシステムがあります。リゾート・マンションのタイムシェアは日本でも一般的になってきましたが、ジェット機においては日本ではほとんど行われていません。

 広大なアメリカでは、各地にジェットを置いておき、今利用者がなく最も近くにあるジェット機を利用するという方法がとられます。Aの飛行機がだめならBの飛行機、BがだめならCというように、数機を共同所有し、柔軟に対応できるようにしているのです。日本では市場規模が小さいため他人同士でのフラクショナル・オーナーシップは少なく、友人同士で行うことがほとんどです。

ビジネスジェットが日本にもたらす経済効果

 これまで見てきたように、インフラや法規制、日本人の目立つのを嫌う国民性など、日本にビジネスジェットが浸透するにはいくつものハードルがあります。しかし世界の急速なグローバル化により、日本のトップも欧米と同等のスピード感が求められるようになった今、ビジネスジェットの必要性は無視できません。

 日本の富裕層の中には、海外に出るまではエアラインを利用し、海外で近場を移動する時にビジネスジェットをチャーターする方もいるようです。一方、羽田空港の自家用ジェット乗り入れが解禁になった2000年以降は、社用機を所有する会社も徐々に増加しています。国内のインフラが整ってくれば、富裕層の購買意欲も刺激され、状況はさらに変化していくはずです。

 また、自家用機の普及によって巨額の資金が動く市場が日本に根付けば、大きな経済効果も期待できます。日本がビジネスジェット先進国になる日。それは決して遠い未来ではなく、日本経済にとっても非常に意義深い、目指すべきビジョンの一端なのではないでしょうか。


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