任天堂社長が語る「不況でも独り勝ちする方法」(前編)

アジアは今後も重要なポイントだ

 ただし他にもゲーム機は数多くある。その中でユーザーに選ばれるゲーム機になるための秘密があるのだろうか? また海外マーケットでの今後の成長戦略をどのように考えているのだろうか? 

 (岩田社長)他のゲームも「ゲーム機」と呼ばれ、任天堂のゲームも「ゲーム機」と呼ばれ、売り上げは毎週比較されます。だから、その意味ではライバルです。でも、彼らとの競争に勝ったら、任天堂はゲーム人口を増やせるのかというとそうではありません。我々は任天堂が新しい提案をすることでゲームを遊ぶ人が増え、その人たちが継続的にビデオゲームを楽しんでくれるようになるということを目標にしています。むしろ、無関心なお客さんがどうしたらこっちを向いてくれるのかということの方がずっと重大な関心事です。

 アジアのマーケットには、もちろん大きなポテンシャルがこれからあると思います。もし、経済状況がこうならなかったら、アジアの国々の経済発展はもっと順調だったはずで、そうであれば今年は非常に重要な年だったんだろうなと思います。

 何度も言いますが、景気よりも、ウィッシュリストの1番かどうかが大事です。ただ、それはある程度1人あたりの所得が多いから言えることです。さすがに発展途上の国には同じことは当てはまりませんから、経済状況が良い追い風の時でないと新しいプロダクト、今まで生活の習慣になかったものを受け入れていただくことは、それだけハードルが高くなると思います。ですから、アジアの勝負のタイミングは、ほんの少しだけ後ろにずれたかなと思いますが、それでも重要なポイントとしてやっていきたいと思っています。

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