バレンタインデーにちなみまして、今月は洋菓子のお話しです。
以前、「京都はカオス?」(http://media.yucasee.jp/posts/index/4806)という記事にも書きましたが、京都人は とても保守的で排他的というイメージの反面、新しいもの、斬新なものが大好きな歴史もあります。
京都には、美味しい老舗の和菓子屋さんがたくさんありますが、明治の時代からの洋菓子屋さんも健在です。
この「村上開新堂」さんは、明治37年創業時とほぼ変わらぬ店構えとのことで、ぼんやり歩いていますと、古物商の並ぶ寺町通りの町並みに溶け込み、つい通り過ぎてしまいそうになります。
重い木のドアを開けると、店内はタイムスリップしたかのような、明治の雰囲気。タイルの床も素敵です。
おそらく創業当時のままのレシピで焼かれています゛ロシアケーキ゛は、熱いミルクティーにぴったりで、ほっとする懐かしいお味です。
また、11月から3月の名物は、゛好事福廬(こうずふくろ)゛との おめでたい名前の蜜柑ゼリーです。今風の、ゼラチンをうんとゆるゆるにしたジュレも美味しいのですが、こちらは ゛ゼリイ゛と表現したい 弾力のある懐かしい風味があります。
さて こちらは、明治13年創業の「桂月堂」さんです。
もとは 御所に納める冠作りを家業としていましたお店でしたが、神戸でドイツ人から欧風菓子の作り方を学んだ初代店主が菓子店として開業し、文明開化の波に乗り、当時の政治家や同志社大学の設立者・新島襄などの支持のもと、京都市民に受け入れられていったのだそうです。
私のお気に入りは、ブランデーケーキ。昔ながらの金色の紙にひとつひとつ包まれている姿もいい感じです。
甘さひかえめで、最後に口の中に残るほろ苦いブランデーの風味が上品です。
いずれのお店も、時が止まったような、ひっそりと静かな佇まいです。
京都を散策していますと、またどこかで、人知れず歴史を経てきましたレトロな洋菓子屋さんに出会えるかもしれませんね。