火ぶたを切った「70兆円争奪戦」

 「貯蓄から投資へ」。少なくともすでに10年以上は唱えられてきたこのお題目は、今度こそ実現できるのか? 「ゆうちょ銀行定額貯金の満期金」と「個人向け国債の満期償還金」が、大量に家計の手元に戻り始めている。「退職金」や「相続資産」も含めると総額は実に毎年70兆円。この資金を巡る金融機関の争奪戦が火ぶたを切っている。

 2010年度下期から今後数年にわたり、家計部門では新たな落ち着き先を求める大量の資金が発生する。家計に戻る「ゆうちょ銀行定額貯金の満期金」と「個人向け国債の満期償還金」だ。

 また、「退職金」と「相続資産」というまとまった資金も、今後数年に限らず毎年、家計の手元に新たに入っている。そのため、総額では毎年約70兆円が家計の手元に戻り、新たな落着き先を求めることになる。

 野村資本市場研究所の宮本佐知子主任研究員は、「これらの資金獲得を目指す上では、個々の資金の性質を踏まえたアプローチが有効。また、また、これらの資金が60歳代を中心とする前後世代に集中していることから、リスクやリターンに応じた様々な金融商品・サービスを充実させることで、資金を預ける適切な金融機関として同世代の信頼を勝ち得ることも、資金獲得へ向けた有効なアプローチだ」と述べている。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる