OPECの盟主「サウジアラビア」は安泰なのか?

 エジプトでムバラク大統領が退陣に追い込まれ、民主化要求の周辺諸国への拡散が懸念されている。すでにアルジェリア、ヨルダン、イエメン、バーレーンなどに飛び火しているが、OPECの盟主・サウジアラビアは大丈夫なのか? 高失業率に民衆の不満が高まり、物価上昇で民衆の生活が苦しいという点でこれらの国は共通しており、サウジアラビアもその例外ではない。

 そもそも中東諸国は好調な経済成長を続け、一見すると安定しているように見えた中での事態なだけに、今は安定しているように見える国でも一寸先は闇だ。少なくとも、今直ちにサウジアラビアで政変が起きそうな予兆はない。ただし、世界一の原油埋蔵量を誇り、日本をはじめ世界中に石油を輸出しているサウジに動乱が広がれば、その世界経済への影響はこれまでの比ではない。

 同国は石油などの天然資源の掘削と輸出が主な外貨獲得源で、製造業などは小規模なものしか存在せず、観光業による外貨獲得も少ない。なお、サウジアラビアの1999年~2008年の平均実質GDP成長率は4.0%(エジプトは4.6%)、雇用者数増加率は3.0%(エジプトは2.5%)と、数字上の経済状態は良好。

 ただし、国際通貨研究所は「中東湾岸諸国では、雇用拡大のため雇用の自国民化を進めてはいるが、民間企業では人件費が安い外国人労働者を増やし、自国民は雇用機会をより好みするなど、雇用機会の増加が自国民雇用者の増加に必ずしも結びついているとは言えない側面もある」と指摘する。

 また、住友商事総合研究所によると「約1900万人のサウジ人(外国人は約800万人)の66%は30歳以下で、サウジ人失業率は実質20%を超え、特に20~24歳のサウジ人失業率は46%に達し、社会問題となっている」という。政府はサウジ人の教育・人材育成、石油依存からの脱却、産業誘致などを進めているが、若年失業者層の不満は、周辺国同様に鬱積している可能性もある。

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