日本の株式市場が閑散となる?
幻冬舎が上場していた大証ジャスダックの元担当記者は「上場したまま、つまり何で上場を維持しているのか、目的がわからない企業は多いです。日々の出来高もなく、言うならばジャンク株です」と話す。
上場を維持するメリットの一つはやはり資金調達だろう。海外市場に打って出る機会をうかがう企業は多いが、その際にはM&A資金を市場から調達するのが手っ取り早い。
しかし、幻冬舎のような国内市場にほぼ限定される企業は、そうした必要もない。考えてみればアートコーポ、CCCもそうだ。
ある企業の経理・総務担当者(エンターテイメント業界)は「上場維持のコストが掛るのはもちろんですが、上場企業になった途端に、作業が煩雑になる上に、この先、IFRS(国際財務報告基準)も導入されます。そうなると、専門の人材が必要になります。あと個人的には、出版社が上場に向くのか、とも思います」と話す。
だったら、今のうちに非上場化してしまえ、と考えても不思議はない。だが、投資家の観点からすれば、たまったものではない。
「1株純資産よりも、TOB価格が低すぎる」と総会に出席した男性の一人は決議に反対したそうだ。1株純資産とTOB価格との間に10万円以上の差があったからだ。
上場を維持する必要のない企業、そして投資家は株を保有する必要がなくなる。このようにして、日本の株式市場がどんどん寂しくなっていくのか。