ボルボ・カーズ 今後5年間の中国市場戦略

 ボルボ・カーズが中国の浙江吉利控股集団に買収されて6カ月が経過した。2月下旬ボルボ(中国名:富豪)は今後の中国戦略を正式に発表し、今後5年間に全世界で100億(約8000億円)~110億ドル(9000億円)を投資し、大半を中国での新車開発にあてるとした。

 会長の李書福(り しょふく)氏は北京で今後5年間の中国戦略を発表。中国西部・成都と東北部・大慶の2か所に生産工場、上海に本部を設置すること、2015年までに販売台数を年間20万台に引き上げ、中国高級車市場で20%のシェア獲得を目指すことなどを明らかにした。

 李会長は「中国は現在西部開発に力を入れていて、東北には昔から工場基地が多い。ボルボの戦略は国家の政策にも沿っており、政府の支持を得られるだろう」と自信を示した。特に成都の工場には54億元を投資し、2013年の生産開始を目指している。

 中国・吉利汽車の親会社である浙江吉利控股集団は2010年8月に米フォード・モーターから15億ドル(1200億円)でボルボを買収した。これは過去最大規模の中国企業による海外自動車メーカーの買収だった。

 フォードは2006年に重慶でボルボS60やS40を生産していたが、中国市場での販売台数はポルシェやベンツに及んでいない。去年の売り上げも3万台強にとどまる。その原因の1つと考えられているのが、デザインが北欧風で派手さに欠けるというものだ。李会長は、「中国顧客の好みを分析した」としているが、これまでにメルセデスSクラスや、BMW7シリーズと争うような高級車を作ってほしいとする李会長と、小型で低燃費の車を作ることが先決とするボルボの経営者との間で意見の相違があった、という報道もあった。

 今後、ボルボ新工場の稼働とともに、どのようなタイプの新車が発表されるのか注目だ。

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