統合破談を期待しているわけではないが
新日鉄との統合検討について、住金の下妻博会長は「世界の鉄鋼需要は拡大する。(住友金属という)会社の名前を惜しんでいれば世界で活躍できない」と語っている。統合後、本社機能が東京に集中し、関西と距離が出るとの懸念について聞かれると、「統合まではこれまで通り。その後は予想がつかない」とも説明している。
下妻氏は関東在住ながら、今年5月までは関西経済連合会の会長職を務めている。住金から関経連会長を務めたのは、日向方齊氏(1977年5月~1987年5月)と新宮康男氏(1997年5月~1999年5月)で、関西財界での存在感は大きかった。新日鉄との統合後、同じ存在感を続けることは難しいだろう。
関西財界銘柄企業でいえば昨年2月、サントリーホールディングスが、半年かけて交渉していたキリンホールディングスとの経営統合を断念した。住金と新日鉄の統合交渉では、独占禁止法に抵触する恐れもあり、「サントリーの二の舞になる可能性もゼロではない」(証券アナリスト)といった見方もある。
そうなったら、関西財界には安堵の声も広がるかもしれない。「それを期待するほど関西財界は落ちぶれてはいない」(関西財界幹部)というが、さて、本音はいかに。