11日午後、三陸沖で発生した巨大地震は首都圏の足に大きな影響を与え、多くの帰宅難民を生んだ。このほど大阪市が震度6レベルで試算した帰宅難民は90万人(大阪府では120万人)。1200万人とも言われる都心部の通勤者に、帰宅難民が大きな問題として立ちはだかる。
今年1月に大阪市などが開催した「大阪駅周辺における大規模災害時帰宅困難者対策検討会」では、帰宅難民は90万人とされた。このモデルは午後3時に地震が発生するという想定で、今回の地震発生時刻が近いということもあり、教訓となりうる。
11日の三陸沖地震では発生後の3時前後から徐々に帰宅しはじめたが、すでに公共交通機関はほぼストップし、バスに乗車してもまったく動かず、下車して歩く人が多数。しかし、歩くことも限界があり帰宅難民が多数出た。各区役所、各公民館がスペースを提供したり、企業では原宿のセコム本社がトイレの貸出を行うなどしていたが、対応には限りがあった。
特に、大阪市中心部の7駅(JR大阪駅、JR北新地駅、阪急梅田駅、阪神梅田駅、地下鉄梅田駅、東梅田駅、西梅田駅)で見れば、徒歩帰宅が不可能な人約20万人(うち鉄道利用者約17万人)で、徒歩帰宅が可能な人約22万人(同22万人)と推計された。
徒歩10分圏内にこれだけでの人数が滞留することになり、行政だけの対応の限界を示唆する。
大阪市は「行政機関は、被災市民への救済策を行う中で、帰宅困難者への対応は難しく民間企業を主とした対応体制の構築が必要」としており対応の限界を結論づけている。
そこで、民間事業者に対しては、次のような項目を啓発している。
・従業員をいっせいに帰宅させるのは控える
・正確な情報の入手方法を周知しておく
・事務所内の安全対策に努める
その上で、企業、焦点などもトイレ、一時避難場所の提供など協力が場合によっては求められるだろう。