東京・銀座
3月11日はいつものような金曜日になるはずだった。だが、この日の午後に起きた東日本大震災で、銀座の街の様相も変わってしまった。もちろん、建物が倒壊したというほどの大被害があったわけではない。だが、ボトル、グラスなどが割れた上に、床が水浸しになるなど店に大きな被害が出たクラブは多数あるのだとか。黒服がその様子を語る。
「さすがに11日は、店を締めるクラブが多かったです。建物が大丈夫でも、店の中がそんな状態ですし、お客さんも帰宅するだけで精いっぱいでしょうし、連絡がつかないホステスさんもいたり、交通手段を確保できなかったりで、とてもまともに店を開ける状態ではありませんでした」
当分の間、休業。あるいは、ホステスの出勤を制限しての営業などクラブによって様々な対応を取ったそうだ。
「同伴の約束が飛んだ子もいるし、それ以前に、お客様がもしかすると被害に遭われているかもしれないので、お誘いするのもどうかと、気が引けてしまいます」と、あるホステスは振り返った。
ホステスやキャバクラ嬢の間で、通称ホスラブと呼ばれるSNSには、今回の原発事故でヤリ玉に挙げられている企業の役員? の社名と名前、さらには店での振る舞いが書きこまれるなど、これも震災の二次被害なのだろうか。
また、最近あまり経営が芳しくなかった店は「経営権を譲渡したい、という申し出を他の店に打診した店舗もあります」と関係者は言う。
そんな暗いムードも漂っていた銀座だが、ちょうど一週間が経過した18日には「思いのほか、お客さんも来ていただいているみたいです。でも節電しながらですけどね」とあるホステス。
今後は節電という課題を残す銀座の夜の街だが、少しは落ち着きを取り戻しつつあるようだ。