デマで食塩が品切れ、書き込み者は拘留・罰金(中国)

 東北地方太平洋沖地震から1週間後、中国ではあるデマがネットや携帯電話のメールを通じで広まり、全国各地の塩が品切れ状態になってしまった。

 そのデマとは「福島原発事故で放出された放射性物質が海に流れ出し、中国・山東海域にも汚染が広まります。家族や友人に汚染が広まる前の塩やわかめをストックし、今後1年間は海産物を食べないよう伝えてください」というものだった。

 3月15日午前、杭州市のIT関連企業で働く陳氏(31歳)は「魚翁」というハンドルネームを使ってこの内容の書き込みを広めた。その後も携帯メールや電話、ネット上で次々に転送され、中国各地にうわさは伝わってしまった。現在、書き込みは当局によって削除されている。

 うわさを聞いた市民たちは、スーパーやコンビニなどに走り、塩を買い占め始めた。16日一日で普段の十数倍売れたという。その後、このデマは中国沿岸部だけでなく内陸部にも伝わり、ついには中国ほとんどを巻き込んだ。

 蘭州市で3つの食堂を営む男性は、運送費も含めあわせて2.7万元(約33万円)で6500キロの食塩を買い込んでしまった。20平米ほどのアパートは260個の大袋が1メートル以上の高さに積み上げられて、部屋の半分を占領している。「塩を送り返すことも、売ることも、運ぶこともできない。自分でゆっくりと食べるしかないのか」と男性は途方に暮れている。

 またうわさは株式市場にも影響を与えた。17日には食塩や食塩加工品業関連企業の株価が次々とストップ高となり、塩の代替品を生産しているメーカーの株価も7.41%上昇。だが18日になると逆に塩関連銘柄は大幅に値を下げた。

 こうした事態を受け、杭州市公安局はデマを流した陳氏に対して、10日間の行政拘留及び500元(約6000円)の罰金を科している。

 中国政府は22日、食塩の価格は全国的に正常値に戻ってきている」との見方を発表した。
自治体の中には大量に買い占めてしまった人に対し、塩業者が回収し損失を軽減するよう求めるところもあるということだ。

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