外資系にはない「赤プリ」の義理人情を見た

 3月いっぱいで閉館する予定だった「グランドプリンスホテル赤坂」(赤坂プリンス)が
、福島県の被災者の一時的な避難所として提供されることになった。閉館後の4月から6月まで。近年は外資におされぎみだった国産の名門ホテル。その美しき去り際、さすが「赤プリ」と後世にその名を深く刻むことになるだろう。

 失礼を承知で言えば、高級ホテルに、避難所というイメージは決して似つかわしいものではないかもしれない。だが、名門ホテルにふさわしい、最後の大役だ。

 1955年10月1日開業。旧館は1930年竣工の旧李王家邸を改装したもので、新館はプールを潰した跡地に丹下健三氏が設計した地上40階建ての超高層ホテルで1983年に開業した。

 開業直後に訪れたバブル期には、高級ホテルの代名詞となり、また大人気のトレンディスポットとなり、「赤プリ」という名が広まった。栄光の日々は長くは続かず、近年は次々と進出してくる外資系ホテルに苦戦。3月末で閉館することが決まった。

 だが、皮肉なことに、東日本大震災の後は、東京の外資系ホテルは、外国人たちが東京都離れたことや、計画停電などもあり、震災前とは様子が違う。中には、一時営業を停止しているホテルもある。

 外資系も一時的に何室か、あるいは何日か避難所に提供しても良かったのではないだろうか。もちろん、赤プリはもう取り壊すだけということはあるが、最後は世のため人のため、という大義をまっとうすることになる。

 これまで、赤プリを利用した人は多いだろうが、「避難所」と聞いた時には、「さすが」との思いを強くしたのではないか。外資系ホテルの人気は高いが、やはり、赤プリには拍手をおくりたい。

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