マカオを訪れる日本人が増えている理由

 マカオを訪れる日本人が増加中だ。昨年の訪問者数は40万人を超え、海外旅行先としては驚異的な伸びを見せている。市街地そのものが世界文化遺産やカジノという従来の魅力に加え、マカオ航空の成田への乗り入れ、数々のラグジュアリーホテルのオープンといったことも向かい風となった。ハッピーマンデーと組み合わせた3連休などの短めのバカンスにも最適なディスティネーションといえる。

 インフラも充実。2007年からのホテルラッシュは止むことがなく、今年だけでもギャラクシー・マカオやシェラトン、セントレジスが開業を控えている。航空新聞社によると、2015年までに現在の2倍以上の52500室になるという。マカオ全体で世田谷区の半分ほどの面積というから、この数は驚くべきものだろう。

 これを支えるのが、観光の新しい形であるMICE(マイス)の需要。Meeting[会議、研修]、Incentive[報償]、Convention[大会、国際会議]、Exhibition[展示会]の頭文字をとったもので、B to Bに特化した観光戦略だ。マカオの場合、これを積極的にプロモートすることで飛躍的な伸びを果たし、アジア最大規模のMICEのスポットとなった。

 たとえば2008年8月開業のフォーシーズンズマカオ・コタイストリップは、360室の客室のほか、最新の音響設備を備えた宴会施設を複数備え、プレゼンや会議、イベントなどのマルチな利用が可能。ビジネス対応の充実ぶりに加え、ヴェネチアンリゾートやシルク・ドゥ・ソレイユの劇場も隣接している。例えるなら、幕張と銀座が同じエリアにある感覚だろうか。こうした抜群のアクセスが注目され、日本でも優秀なスタッフへの報酬や社員旅行として利用しているところが増えている。1000名に及ぶ社員研修旅行を実施し、大成功を収めたという企業もある。確かにオンもオフも同じ場所で過ごすことにより、社員の結束や会社へのロイヤリティも上がるだろう。

 マカオ観光局では、インセンティブツアーの支援補助、コンベンションやエキシビジョン開催の実費一部負担など、さらなる誘致にさまざまなサポートを続けている。小さなエリアだからこそ出来た巧みな観光戦略。観光立国を目指す日本にとっても、大いに学ぶところがありそうだ。


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