米著名投資家のカール・アイカーン氏は自身が運用するファンドの資金の一部である約17億6000万ドル(約1500億円)を返還することを決めた。中東情勢の緊迫化などのリスクを嫌ったことが理由だというが、その後、日本で東日本大震災が発生。天才的、あるいは動物的な危機回避の感覚は、改めて常人にはマネできないものだと思い知らされる。
これは、アイカーン氏が、このほど投資家に送ったレターの中で明らかにしたもの。AP通信の報道によると、そのレターには、直近の株式市場の上昇や、中東情勢の反政府デモなどが各国に拡散していく中で「新たに起こり得る市場の危機に対して責任を負いたくない」と記しているのだという。
レターの日付が3月7日。奇しくもその直後の同11日に、日本で東日本大震災が発生し、悪いことが続く時には続くものだ。
例えば、東電株を大量に保有し逃げ遅れた投資家もいるかもしれない。アイカーン氏のように、逃げ足が速いのもまた、投資で大成功する大切な要素であることには違いない。ある意味、この決断は「英断」としか言いようがない。
カール・アイカーン氏