ビールを飲めば放射線を3分の1削減できる?

「未完の大作」に終わった研究

 実験レポートの最後には「一連の実験でビール成分には放射線防護効果があることが明らかとなった」「被ばく前にビールを飲むと防護効果は高まるという結論を得た」とした上で、「被ばく後に防護効果があるのかは、いぜん未解明」と結論付けている。

 物部さんは「ビール中の成分の何が利いているのかがわからないのです」という。また、放射線にも様々な種類があって、どれに対して利くのかどうかがわかっていない。大学院在学中の短期間ですべてを研究し尽くすというのは、やはり時間的に難しかった。つまり、文学で言うところの「未完の大作」だ。

 物部さんは現在、ビールの研究は行っておらず、お茶の研究をしているのだという。この研究は今後、陽の目を見る日が来るのだろうか。

 ただ、こうした大災害が起きてみると、一つ言えることは、無駄な研究というものはないんだということか。

 ちなみに震災後に、ビールが入手しづらくなったが、こうした効果と何か関係があるのだろうか。ある酒販業者によると「ビール工場も被災したのと、店頭に並べると何でも買い占められていたことが原因です。(ビールが利くとは)そんな話は聞いたこともない」という。

 味噌、ニンニク、梅干しなど他にも放射線に利く食べ物はあるとも言われている。
◆放医研の当時の発表◆

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