東京脱出の真意は・・・日本のアマン? Never say NOのMURATA

 前々から気になっていた湯布院の温泉宿<山荘 無量塔>に出張で九州方面に行ったついでに寄ってみた。

 オーディオの宿として紹介されていた記事を読んでから機会を心待ちにしていたことを思い出したのだった。無理を言ってオーディオの置いてあるバーでのチェックインにしてもらい、ご機嫌な滑り出しだった。

 通常だとかなり前から予約をしないととれない宿も今回の地震の影響でキャンセルが出たようで、一棟だけ空いていて奇跡的に予約がとれた。

 緊急地震速報に連動して地震がくる前に知らせてくれるセコムの度々の警報で飛び起きて熟睡が妨げられていたカラダには大分のノンビリした空間と時間が浸みた。空港に到着した瞬間に聞こえた到着ロビーの笑い声に同じ日本でもこんなに違うものかと驚いた。春休みということもあったのだろうが、それこそ出発の羽田空港はお子さん連れの緊迫した印象があったので、そのギャップを感じた。

 東京を離れることには賛否両論あったようだが、脱出できる人たちがブレーカーをおとして電気を使わなければ節電につながり、日用品も買わないようにすれば、助かるのではないだろうか。

 そんな状況下から来たので、いつもより甘口になっているのかもしれないが、離れについている温泉はもちろんのこと、食事のアレンジ力が特に素晴らしく、ベジタリアン(ヴィーガン)対応は今までの中でも最高だった。夜はもちろんのこと、何よりプアーになりがちな朝食のもてなしには脱帽だった。

 さりげなく宿泊者専用のスペースが設けられていたり、ショップに置いてあるグッズのセンスも申し分ないものだった。

 ギャラリーの展示は忘れていた感覚を思い出させてくれるもので、置いてある本を読みながらじっくり時間を過ごしたくなる空間だった。

 お目当てのオーディオもレコードの音源を希望すれば対応してもらえたり、夜のデザートはジャズボーカル、朝のクラシックと何度も足を運んだのはいうまでもないが、趣味のいい先代が空間にこめた想いが伝わってきて、あたかも会話ができたような気がしたのはきっと僕だけではないはずだ。

ミニコラム【プロフェッサーの呟き】

スタッフの対応もさりげなく気をつかってくれて心地好いものだった。
亡くなった先代の哲学を今も引き継いでいる様子が所々で感じられた。
一つだけ残念だったのは蕎麦屋では無量塔スピリットを感じられなかったことぐらいだろうか。総合的に見ると値段も素晴らしいが、サービス内容からすると十分納得がいくものだ。

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