嫌がらせで辞める医師続出の秋田の山村に新任医師

 医師の度重なる退職で、無医村になる危機に陥っていた秋田県・上小阿仁(かみこあに)村で唯一の医療機関「村立上小阿仁国保診療所」に、新任医師が6月に赴任することが決定した、と読売新聞が報道した。

 最近5年の間に2人の医師が相次いで退職した同村の診療所。村は相当な危機を持っているようで、読売新聞によると、一部村民による嫌がらせなどが原因で前任者の有沢医師が辞意を表明したことから、 村は「今度起きたら人物を特定して直接抗議する」と強行手段に出ることを辞さない構えだという。

 なぜ、ここまでの事態になったのか。前任者たちは、月休1~2日ほどで働き、年間の休診日は20日ほどだったという。盆明け、正月三が日開けを休診日にすると、心ない声を浴びせられるなどしたようだ。

 一部の村民は、医師は村長よりも給料が高いと思いこんだり、村から家を買ってもらっている、という思い込みもあったと言われている。

 もちろん感謝の声の方が多いとはいうものの、こうした事態は村役場の耳にも入り広報紙で次のような注意を出すほどだった。

 「有澤先生には村民の健康維持のため、献身的にご尽力をいただき、大変ありがたいことであります。しかし、土・日・祝日は原則的に休日であり、医師にも同様に休日が必要であることから、村民の皆さまには、緊急かつ必要な場合以外は、連絡を遠慮するよう配慮していただきたいと考えております」

 そして、有澤さんの前任者の松澤医師は村の広報紙の2008年9月号に「村の診療所を守るために」としたコラムを執筆。「一度は書かなければならないと思っていたことを書いてみます」と決意の表明をした。よほど、溜まっていたことがあるのだと思われる。

 村は、新任医師のために北海道まで面談に行き、長くとどまってもらいたいという考えを話したようだ。しかし、一部の心ない村民の意識がどう変わっているか。村が監視を続けていくしかないのだろうか。

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