プレイステーションのネットワーク(PSN)から個人情報が流出した問題で、ソニーは5月1日に本社で会見し、平井一夫副社長は謝罪し、ユーザーにゲームの無料提供などを検討していることを明らかにした。しかし、事前にハッカー集団による度重なる攻撃を受けるなどしており、同社のセキュリティへの信頼度が低下し、今後の事業計画の中核に据えるネットワーク事業への影響が懸念される。
平井副社長は、サイバーテロが起きたとしてでFBI(米連邦捜査局)に捜査を依頼したことを明かした。また、約7700万人分の個人情報が漏えいされたかどうかについては、住所、氏名、生年月日、メールアドレスなどが可能性大とし、クレジットカード情報などは可能性があるという。
ただ、補償については何度も質問が出たが、平井氏の口から出るのは、クレジットカード被害が出たら、あるいはゲームの無料サービスの繰り返しだった。
サイバーテロが、ハッカー集団「アノニマス」によるものかどうかについては、まだ断定はできないとした。
ただ、ハードをネットワークで接続する事業は今後のソニーが中核事業と位置付けるもの。次期社長候補でこの部門の最高責任者である平井副社長は、責任の言及については避けた。
しかし、ユーザーの信頼を大きく損ねたことだけは事実。また、4月17日に攻撃を受けていたにも関わらず、公表が遅れたことについても「様々な協議をして、メドがついた早いタイミングで」と考えてというが、同26日にはタブレット端末機の発表を行っており、また連休中という時期での発表も疑問が残る。
結局は、タイミングといい、会見の内容といい、東京電力と雰囲気が似ていたのは確かだ。これで、ユーザーの信頼を取り戻すことができるかどうか?
謝罪する平井一夫副社長(中央)=東京・品川=