震災2日で1億円稼いだ投資家の苦悩

世の中は他人の犠牲で成り立っている


 まずオプション取引とは、日経225などの金融商品を決められた期日に決められた価格で売り渡す「権利」を売買するもの。買う権利を「コール」、売る権利を「プット」といい、それぞれに売り手と買い手がいる。

 日本株式、FXと比べると個人投資家の間ではそれほど馴染みがあるものではない。しかし、AC後屋さんは「相場が楽しくても、相場の先を読むことができる天才ともなると少数です。オプションはそれとは違って理詰めですし、勉強すればするほどおもしろいです。もちろん慣れが必要ですが、天才じゃなくても結果が出るので努力し甲斐があるのです」だという。

 商品先物取引から相場の世界に入り、将来性などを総合的に考えてオプションを主戦場にするようになった。そして順調に利益を積み重ね、優に億を超す資産を持つにいたった。今回の相場については次のように話す。

 「『外のプット』(日経平均が大暴落しても損失にならないような保険的なポジション)を買っていたので、たまたまこういう結果になっただけです」

 地震発生の週明け3月14日の相場は大暴落となった。1億円以上の利益は、偶然が生んだ産物であり、この震災にはさすがに心が傷んだ。

 「人間って生きているだけで、誰かの迷惑にもなっているし、今の生活を実現するためには、色々な人の犠牲で成り立っているわけじゃないですか。だから、今回の利益の中から2000万円を寄付することにしました」

 自分ができる最大限の貢献をする。それは何としても伝えたかったことだという。そして、もう一つどうしても伝えたいことがあるという。

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