震災で資産の海外脱出をし始めた富裕層【3】

 東日本大震災の後、日本の富裕層はこれまで以上に海外への資産移転や、居住を考えるようになっている。節税目的ではなく、本当の意味でのカントリーリスクを意識した資産フライトだ。今回は、本格的な海外脱出ということを検証していきたい。また、日本の当局の動きにも少し触れておきたい。

日本沈没の「Xデー」に備える?

 パーマネントトラベラー(PT)には、用途に応じて国を使い分けるという概念が存在する。このシリーズでは、カントリーリスクを見越した海外への資産フライトという側面から、スイスなどよりも香港、シンガポールでも十分だという結論に落ち着いた。

 ただ、いよいよ日本を離れなければならないという「Xデー」のために、どこに住むべきか。いきなり日本脱出とはいかないために、前もって情報を得ておく必要はある。まずは、タックスヘイブン、地震など災害が少ないという条件がそろっている国が望ましいだろう。

 「今回の地震、津波、原発事故を見ると非常に難しいです。タックスヘイブンで、地震が少なく、原発も近くにないという場所が良いのですが限られます。震災後に日本から香港に逃げた外国人も多かったのですが、香港は元々放射線量が高く、原発事故後の東京よりも香港の九龍の方が高かったということがわかっています。それを気にしなければ日本からも近い香港もいいでしょう」

 日本のPT研究の第一人者である木村氏は、そう説明した。さらに次のように付け加えた。

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