偏差値29から東大に合格した美人作家

やめるくらいなら死ぬ


杉山奈津子さん
 「大学に受かることを目標にしてしまうと、入ったら燃え尽きてしまいます。時々そういう人もいますけど」

 杉山さんの目的は東大合格ではない。うつ病に悩む人たちのために何らかの情報発信を行うことだ。燃え尽きることこそなかったものの、人生は、東大入試とは違い目的に向かって最短距離で進むことは難しい。困難や壁は何度も立ちはだかる。

 うつ病がさらにひどくなって、東大薬学部卒業後は実家に帰って治療の日々を送ったこともあった。うつ病の人のために情報を発信していくということをライフワークにするはずが、まったく活動ができないでいた。

 最も苦しんでいた時期だが「あきらめるくらいなら、あるいは、やめるくらいなら、死んでやると思っていました」と、覚悟は変わらなかった。というよりも、さらに覚悟は強くなっていった。

 厚生労働省管轄の医療財団で働いて、出版のきっかけを掴み、「うつと上手につきあう本」「神様がつくった病~おばぁちゃんと私の認知症物語」「鬱姫なっちゃんの闘鬱記」などを出版し、全国から講演依頼が来て、飛び回っている。

 目標に向かって邁進している杉山さん。だが、こうした活動も東大を出たからこその産物でもある。

 「一度出ちゃうと東大ブランドが付くというか、何かすごいですね。言うことも信じてもらえるようになるし…」

 東大受験を諦めていれば、はたして今の杉山さんはあっただろうか、と考えると、人生とはやはりチャンレンジしなければいけない、ということがよくわかる。

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