アップル伝説のもう一人のスティーブに再び脚光

 「ウォズの魔法使い」がまたしても、世間にインパクトをもたらした。

 9日のNY株式市場に新規株式公開を行った米IT企業「フュージョンイオ」。クラウドコンピューティングの本命視される企業で、アップルの共同創業者の一人であるスティーブ・ウォズニアック氏が、共同創業者に名前を連ねる。「ウォズの魔法使い」とも呼ばれ、創業期のアップルを技術面で支えた天才の名前を久々に聞いた人も多いことだろう。

 「アップル1」「アップル2」をほとんど一人の力で開発。会社がマックに注力するようになるなど、経営方針の違いから会社を去ったとされている(後に請われる形で相談役で復帰)。

 ただ、技術力も一流ながら、人柄も愛されてきた。こんな逸話がアップルには残っている。初期の従業員の中には、ストックオプションの権利を持たない人もいたが、自身の所有分から1人あたり2000株まで買えるように手配してやったのだ。スティーブ・ジョブズ氏らからは、強く非難されたとはいうものの、こうした配慮に従業員は感激したことは言うまでもない。

 フュージョンイオの上場においても、もしかしたら、従業員に対して最大限の配慮をしているかもしれない。

 フュージョンイオの取り引き先は半分以上がSNS最大手フェースブック、そして次いで大きいのがアップルだという。古巣との取引を続けることができるのも技術はもとより、その人柄による部分もあるだろう。

 ヒゲを蓄えた魔法使いは、当時よりもさらに肥えた体を揺らしながら9日、ニューヨーク証券取引所に立っていた。


スティーブ・ウォズニアック氏(中央)

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