エラソーな関電の節電要請にキレる企業続出

「新聞の一面を見て初めて知った」大口需要家

 関西でも、夏に電力不足になりそうなことはしばしば報道されていたが、正式な節電要請はなかった。それなのに、発表の日の朝刊各紙に「関電、15%節電要請へ」という大見出しが踊った。需要家に説明する前に朝刊に出たことで、「一方的に通告された気がした」(大手電機メーカー幹部)というわけだ。

 発表の日、あるビルのオーナー会社の担当者は、関電の大口顧客担当者の訪問を受けていたという。「朝刊に出ていたような正式な要請をするかは、決まっていません。ただ、こんな節電機器の提案があります」とビジネスの話をしたという。「話をきいていたまさにそのとき、記者会見をやっていた。後で二重にばかにされた気がした」(ビル会社の担当者)とも。

 関電は、福井県内に11基の原発をもつ。うち5基について、福井県が「震災対策が不十分だ」として営業運転を了承しておらず、再開のめどが立っていない。関電は、管内の夏のピーク需要について、猛暑だった昨夏と同じ3138万キロワットとみているが、供給力は2938万キロワット。明らかに供給力が不足する。

 こうした事実を見て多くの企業は、関電の発表のやり方に不満をもっていても、「協力するしかない」(大手電機メーカー)とあきらめ顔。だが、黙っていなかったのは橋下徹大阪府知事だった。「協力するつもりはない!」と早々に宣戦布告し、11日には「1社独占の弊害が出ている」とも批判。電力会社の地域独占体制に疑問も示した。

 大阪の夏は、ただでさえ暑い。関電に対する怒りが加わり、今年の夏は一段と熱帯化しそうだ。

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