東京証券取引所の斉藤惇社長が、大阪証券取引所との経営統合について「すべては未定」とニューヨークの会合で答えた。市場は、すでにこうした動きを織り込んで大証が下げトレンドに突入。この発言で週明けも、さらに下げを加速するかもしれない。
震災前には、経営統合に関しては前向きな姿勢を示していたものの、ここに来て一転して「全ては未定。検討する可能性はあるが、計画は未定だとの見解を示した」とブルームバーグには報じられている。
完全なトーンダウンに、米金融大手ゴールドマンサックスが業を煮やしたのか、第2位の株主に躍り出ており「まずは無言のプレッシャーだろう」と証券関係者が言う。
大証は統合の報道の直後は値を上げた。その後の3・11の大震災で下げて一時的に株価が回復したものの、再び下落トレンドに入っている。前週末の終値が34万9000円だ。
「東証はまず上場して、その後に大証との統合を始めたい。だが、今の市況下ではタイミングが掴みづらい」とベテラン個人投資家。
当然ながら、煮え切らない発言になるのも分からないではない。
また、斉藤社長の、東電の法的整理発言も、東電を外せば相場環境が少しは変わると考えたからではないか、とのうがった見方さえ出てきている。
当分、先になりそうな雰囲気とともに、大証株はきっかけを掴めないままだ。