「創業一族の乱」株主提案がなぜ必要か?

30、40代が抑圧される日本社会を変える

 「日本社会は世代間で、特に30、40代に不平等感が強く、不当に抑圧されているこの世代からリーダーを出したいと思っています。年配者を排除するという意味では決してありません」

 先の読めない展開が続く現在。次世代へという意識があってもなかなか後進に道を譲ることができないのが、日本企業でもある。計算機の礎を作った、カシオ計算機の創業者・樫尾俊雄会長(86)が6月で退任することが決定。会長就任から23年での決断だが、名物経営者が高齢となってからも居座るという例はあげていけばキリがない。取締役会は高齢者だけで占める企業もまだまだ多い。

 山中氏は「どんなにすごいメジャーリーガーでも、ある年齢からパッタリと打てなくなることがあります。それと同じことだと思います。実際に、米国では30、40代の社長が活躍しています。そのくらいの年齢が経験や気力、体力が最も充実する頃で、(高齢になるほど)世の中の変化に対処できなくなってくるのだから当然です」と説明した。

 その上、日本企業には『世襲』という一つの大きな問題点が残っている。

 「能力のある人が後を継ぐのなら何の問題もありません。しかし、世襲の理由を明確に開示している企業はありません」と山中氏。

 世襲が自動的にシステム化されてしまう企業に新しい風は一生吹くことはない。もちろん、有能な人が後を継ぐことは全然構わないのだが…。

 一方で、企業の中には経営が順調に行っているところもある。しかし、そうした企業でこそ、株主提案は必要だとも山中氏は言う。

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