人の松下も今や「(三洋の)人は要らない」に

人気商品は引き継ぐが人は要らない


パナソニックの大坪社長
 「子会社化に伴う人員削減が伝えられていますが、パナソニックの基本方針に『世界中の人々に暮らしの向上と社会の発展に貢献する』とあります。人員削減は、この基本方針に著しく反すると思いますが?」

 さらに、この日の役員選任で取締役が1人増えて20人体制となることにも言及。「(社員を削減するなら)役員も削減するべきで、増員というのはおかしい」。
これに対して大坪社長は「経営の視点から合理化を図らなくてはならないのは当然。最適の事業体制を作り上げるための経営施策を考えた結果として、人員削減もある。なにとぞ、ご理解を」と訴えた。

 別の男性株主は「エネループなど三洋電機の人気商品もすべてパナソニックブランドになるのか?」と質問。大坪社長は「消費者向け商品などは来年4月からパナソニックに統一します。ただ、商品ネームとかペットネームといいますか、エネループとか、ゴパン(お米からパンを作るベーカリー)などについては、グル‐プ全体で整合性を図りながら、必要なものは残していく」と説明した。

 要は、人気商品名は引き継ぐが、人はいらない――ということだ。

 松下幸之助は、大恐慌のときですら社員を切らなかった。時代は変わり、世界的な競争の中、仕方ないのだろうが、パナソニックの創業家の2人が見ているなかでの三洋のリストラ宣言となったことは、皮肉としかいいようがない。ちなみに、召集通知によると、松下正治氏のパナソニック株の保有数は959万8000、正幸氏は791万3000。それでももはや創業家に発言権はない。

 総会は約1時間半で終了した。三洋の子会社化では、TOB(株式公開買付)後に残った三洋株は、株式交換によりパナソニック株となったが、交換日は4月1日だったので、元三洋株主は今回の総会に招集されていない。元三洋株主が参加する来年6月には、リストラは一段落しているだろうか――。

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