大荒れの関電株主総会、ヤジ、怒号、セクハラ…

 東京電力の福島第1原発の事故で脱原発の声が高まるなか、11基の原発を有する関西電力(本社・大阪市北区)の株主総会が29日、大阪市内で開かれた。原子力比率が国内でもっとも高い同社の場合、例年3~4時間の長時間総会となるが、今回は過去最長の4時間50分を記録。原発停止や経営陣の責任を問う質問や動議、提案の嵐となり、前日に開かれた東電(6時間9分)並みの混乱振り。怒号が関西弁となり、東電総会より怖いという印象も。荒れた会場をルポする。

さすが関電? 冷房はよく利いていた


関西電力定時株主総会の会場(大阪市)
 バトルは会場の外から始まっていた。制服姿の警備員が立ちはだかる入口前には、原発反対派の市民グループが詰めかけ、ノボリを上げて株主にビラを配布している。ビラには「STOP原子力 関電包囲行動 関電包囲の一環として勝手に原発に反対する株主の応援に来ました」との一文があった。

 さらに、街宣車がおしかけ「東京電力は、福島県を住めなくし、皇土を汚した。株主の皆さん、原発を許していいのですか」と大音量でアピール。まるで戦場のような騒ぎ。

 開会約30分前にもかかわらず、メイン会場はほぼ満席。後方で運よく空席を見つけ、席に着く。この日の大阪市内の最高気温は34度。もう汗びっしょりだが、株主向けのドリンクサービスなど一切ない。さすがに電力会社の総会とあって、会場の冷房がよく効いていたが、「節電、節電」と頼んでいる会社の総会だから、なんとなくいやーな感じだ。

 質問タイムに入り本格バトルがスタートした。一斉に何十人もの手が上がり、関電追及のオンパレードとなる。「原発は、絶対安全、経済性、クリーンと繰り返してきたが、そのすべてが今、否定された。それでも推進しようとしているのか!」「電気を売ることが大切か、人の命が大切か、経営哲学を聞かせてほしい」「原発を推進してきた会社として、国民に謝罪はないのか」

 こうした質問に、役員たちは判で押したように「今後とも安全・安定運転の確保を大前提に、原子力を中心とした最適な電源構成を構築し、持続可能な低炭素社会の実現を…」と繰り返すだけ。「こう答えなさい」と顧問弁護士に指導され、練習を重ねたであろう成果を見せる。

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