なぜ東電勝俣会長は枕を高くして眠れるか


東電の株主総会会場前。定刻を過ぎても 入場できず長蛇の列が続いていた
 「そりゃもう、よく寝ましたよ」

 東電の勝俣恒久会長が定時株主総会が行われた6月28日朝、東京・新宿区の自宅前に集まった記者に、昨夜はよく眠れたかと聞かれて、そう答えていた。紛糾必至と見られ、実際6時間を超える大荒れ総会となったが、なぜこうまで安心していたのか。それは2人の大口株主の存在があったからだ。

 「議長(勝俣会長)は前の席にいる(代理人)2人の株主の挙手を気にしていた」と出席していた、ある株主。

 実際には議長解任の緊急動議などは、会場の挙手の数は拮抗。それでも数えることはなく、即決したことに株主の不満が爆発していた。

 そして、午後1時半をすぎて、会長は2人の株主から委任状があったと発言。それが、130万6633株中の107万8015株を占めており、過半数を大きく超えるものだったという。数から察するに、大手生命保険会社2社ではないかと見られている。

 つまり会場にいる株主の挙手など関係ない、ということだ。

 昨年あたりから株主提案が注目を集めるようになってはきた。今年はHOYAでは、役員の個別報酬開示議案が48.47%の賛成があった。過半数には届かなかったものの、今後に期待を抱かせる結果であることには違いない。

 しかしながら、電力会社においての株主提案や、意見は通りようがないとの脱力感を覚えた株主は多いだろう。「時間と金の無駄だ」と吐き捨てた株主もいた。今年はのべ9300人以上が出席したが、来年まで株主たちは熱意を持ち続けられるのだろうか。

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