更新料訴訟は「有効」もすでに「時代遅れ」?

「更新料はすでに時代遅れ」


 「オーナーを続けるのがツラくなって廃業する人も出てくるようになると、結局は入居者が損をすることになりかねないのでは」

 最高裁はそうしたバランス感覚も働かせたかもしれない。オーナーをやめたいがために、物件を売却に出しているが、売れずに困っている人も増えているのだという。

 オーナーも正直、楽ではない。今年4月の「全国賃貸住宅新聞」に掲載された、都道府県別の空室率では、訴訟の舞台となった京都府は17.34%で、全国平均18.74%をやや下回る。しかし、東京13.83%、神奈川16.14%と比べると圧倒的に高い。つまり5部屋持てば1部屋は空室になることを覚悟しておく時代となっているのだ。
 
 更新料を嫌がる入居者も増えてきている現状がある。そこで、更新料、さらには礼金、敷金を取らないことを、他の物件との差別化として、入居者を集める業者やオーナーも出てきている。

 都内のある30代オーナーは「家賃に少し上乗せするのですが、一度にたくさんのお金を払わなくていい、と喜んでくれる入居者さんが多いです。古いオーナーさんは、貸してやっているんだ、という意識が強すぎると思います。今は不動産経営も営業努力が必要です」と話す。

 とりあえずは、更新料は「有効」との判断が出たものの、不動産投資家もしのぎを削る時代であることには違いない。

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