写真で届ける世界遺産(フランスその6、ランス)

 フランスの歴代国王が代々戴冠式を行ったノートルダム大聖堂がある世界遺産の街ランスはパリ東駅からTGV(フランス高速列車)で45分。駅前の公園を横切り、タレイラン通りを10分程歩くと、左側に忽然とノートルダム大聖堂が現れました。

 13世紀に着工したゴシックの大聖堂は、3段で構成され、上部の二つの塔は完璧な左右対称となっています。



 数多くの彫刻が外側のいたるところに施され、正面扉の両側には見事な彫刻が何体もあります。その中でも有名なのが、この「微笑む天使」。


 他にも「マリアの従者」「聖ヨゼフ」等の秀作はゴシック最盛期の傑作と評されています。

 中に入ってみました。13世紀のルイ8世から19世紀のシャルル10世まで、この祭壇の前で王冠を授かった国王は25人にのぼります。



 建築様式がロマネスクからゴシックに移行した13世紀は、天に向かって伸びる先のとがった尖塔と、広い薔薇窓やステンドグラスの輝き、入口や外壁に掘り込まれた緻密な彫刻が特色ですが、この大聖堂はその三つの特色を全てそなえています。

 内部から、入口を振り返るとバラ窓のステンドグラスが輝いてました。



 この大聖堂は過去に何回も修復が行われましたが、シャガール作のステンドグラスも後に加わったと聞き、聖堂内を一周すると、左の奥に、3枚で構成された独特のタッチの、青いステンドグラスがありました。ここでシャガールの作品に出会えるとは感激です。


 外側の高くそびえるゴシック様式の威容と、周囲の豪華な彫刻、戴冠式の舞台にふさわしい荘厳な内部と、大聖堂の全てに圧倒されました。

 外に出てから周囲を歩くと、ゴシックの威容が眺められます。



 そして敷地内の一角にひっそりとたたずむジャンヌ・ダルクの騎馬像。何故、ジャンヌ・ダルクがここに? と思いますが、オルレアンの解放後に、シャルル7世を引っ張り出して、この大聖堂で戴冠式を行ったからだそうです。


 さて、再び駅に戻り、次は藤田嗣治画伯が静かに眠る礼拝堂を訪ねました。ここは世界遺産ではありませんが、彼の絵は好きなので、いずれは行こうと思っていました。

 駅から歩いて15分程ですが、途中の道が狭く、道に迷いやすいので、タクシーで行ったほうが無難です。筆者は近いと思って歩いてみましたが、30分歩いても見つからず、再び駅に戻ってからタクシーで行きました。今度は僅か5分で到着しました。

 小さな礼拝堂ですが、多数のフランス人が訪れていました。



 礼拝堂の内部の壁には藤田がフレスコで描いた宗教画がありました。エコール・ド・パリの代表的画家として活躍した藤田の有名な「乳白色」は壁のフレスコ画にも活かされていて、素晴らしい作品でした。残念ながら礼拝堂内部は撮影禁止だったので、この写真は礼拝堂の外から撮りました。

 正面奥の乳白色を使ったフレスコ画がご覧になれますか。



 これだけ多くのフランス人が訪れているということからも、彼の作品が、フランスで愛されてたことがわかります。ランスの大聖堂はサン・レミ修道院、トー宮殿とともに1991年に世界遺産に指定されました。

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