ヘッジファンド界の重鎮であるジョージ・ソロス氏が事実上の引退を表明したが、理由として語った規制の網を強化しているのが、米証券取引委員会(SEC)初の女性委員長メアリー・シャピロ氏だ。2009年1月の委員長就任以降、ウォール街と激しく対立している。
「SECはまったく仕事をしていない」。マドフ事件、リーマンショック、エンロン事件など大スキャンダルが起きるたびに、そのように悪口をたたかれてきた。ちなみに、歴代の委員長は天下りもいたり、それに近い人もいたりで、そう言われても仕方がなかった。
そこに、抜擢されたのがシャビロ氏。NY生まれでジョージワシントン大学ロースクールで法学博士号を取得して、SECでのキャリアが長く、88年から94年まで委員も務めてきた。その後、米商品先物取引委員会委員長、米金融取引業規制機構の理事長なども歴任してきた、言わば金融規制に生涯を捧げてきた。
フォーブスのモーストパワフルウーマン100にも選ばれたほど。「断固とした取り締まりが必要」と所信表明で述べたが、本当に有言実行だった。
09年からゴールドマンサックスのCDS取引を提訴、さらにはドッドフランクリン法の施行を主導した。
キツい取り締まりに、カール・アイカーン氏に続きジョージ・ソロス氏までも逃げ出した形だ。オヤジが狩られていく中で、若手のファンドマネージャーらも、厳しい状況に直面することになった。
メアリー・シャピロ委員長