カルパースの頭脳が流出

 世界最大の年金基金「カルパース」のポートフォリオ責任者であるカート・シルバーシュタイン氏が退職することが発表された。富裕層向け資産運用の銀行アセット・プライベート・キャピタル・マネジメントに移籍するという。

 08~09年のリーマンショック時には、資金を3割近く減らしたカルパース。ここ数年、あまり良い話題が出てこない同基金だが、米国年金専門誌に、広報担当者は退職の理由は明らかにはしていない。

 シルバーシュタイン氏は11年間在籍。シニア・ポートフォリオマネージャーとして、世界経済の荒波の中で腕をふるった。

 モノ言う株主でもある同基金は、経営破綻前のGMには大量の自社株買いを強要し、同社は研究開発費を削られたことが、破たんの原因となったとも言われた。

 また、保有する住宅関連の債権の格付けを下げたことが、不正確だったとして、10億ドル以上の損失を被ったとして、米ムーディーズなど3社に損害賠償を求めたこともあった。

 とにかく文句が多かったカルパース。世界の機関投資家にマネされるとも言われるほど。ただリーマンショックでは3割も資金を減らして約20兆円になったという。

 裁量的な自由度が低くなった巨大基金よりも、裁量の余地がある場所の方が働きがいがあるのかもしれない。

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