【悪役になったアノ夏2】“ハラ切り監督”最後の夏

21世紀枠に負けるのはみんな嫌だった

 「末代までの恥」

 そう語ったのは、昨年の選抜高校野球で、21世紀枠で出場の向陽(和歌山)に1-2で敗れた開星の野々村直道監督。お立ち台の上では重苦しいまでの沈黙が続いたようで、ようやく絞り出したのが、こうした言葉だったそうだ。

 「21世紀枠」とは01年から始まり、他校の模範となる行いをした学校が高野連、主催者などから協議して選ばれている。当初は2校だったが、08年からは3校に増えた。進学校などが選ばれているケースも多い。

 実は異論の声も、現場からは出ていた。毎日新聞のある中堅記者は「野球以外で目立った学校もあった方がネタになりやすい。それに販売上の戦略もあるだろうし…」と本音を吐露した。

 高校野球の日本一を決める場に「キャラ枠」。もちろん、大会は興行として成り立たなければやってはいけない。そうした面を考えることは、当欄ではあえて否定はしない。

 それでも、やっている現場にとっては、負けたくはないという思いは強いということだ。
各校の監督の中でも、反対意見もあるという。野々村監督の口から出た言葉は、紛れもなく本音だった。それで、野球部監督を辞任することになってしまったのだ。

 しかし、この監督。他の監督とは一味もふた味も違う人間性を持っていたのだった。

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