「詐欺は成立しない」と安愚楽牧場が見解

 民事再生法の適用を申請した、安愚楽牧場が、詐欺、粉飾決算などを否定する見解を自社の公式サイトに掲載し、出資金の返還についても「出資金元本の全額をお返しすることはできないでしょう」との見通しを示した。

 3月時点の負債総額は619億円だが、帝国データバンクによると、オーナーへの返金額を含めると負債総額は4000億円規模に膨れ上がる見込みで、仮にすべての和牛や資産などを売却できたとしても、全額返還は難しいだろう。

 公式サイトには代表的な質問例に対しての回答が掲載されている。主な内容は次のとおり。

Q:オーナーの出資金(元本)はかえってくるのですか?
A:全額はお返しできませんが、一部はお返しできる見込みです。

返還金=和牛の売却価格(一頭について数十万円)+一般配当

結論的には、出資金元本の全額をお返しすることはできないでしょう。

Q:今すぐ解約手続きをとればお金はすぐに返してもらえますか?
A:いいえ。

国による補償は、最終的に東電に負担させることを前提に支払われるものとされております。そのため、東電を相手として交渉を開始し、決着がつかない場合には訴訟を提訴することになります。それにより回収した損害賠償金は、債権者への配当原資となります。

Q:破たん直前まで安愚楽牧場の社員から出資を勧誘されました。倒産すると知ってお金を
集めたのだから詐欺ではないですか?
A:詐欺ではありません。

まず、そのような事実があったとすればお詫び申し上げます。安愚楽牧場の破たんの事実は、皆様に告知するまで、従業員にも秘密にしておりましたので、そのような行き違いがあったかも知れません。しなしながら、安愚楽牧場において破たんの事実を知りながら、社員に出資を勧誘させたという事実はありませんので、詐欺は成立しないものと考えます。

Q:平成23年3月末の決算黒字だったはずですが、あれは粉飾だったのですか?
A:いいえ。税理士のチェックを経た適法な決算です。

Q:安愚楽牧場のビジネスモデルは当初から破たんしていたのではありませんか。
A:いいえ。

預託法の規制にも違反しておらず、監督官庁の抜き打ち検査によっても違法であるとの指摘は受けませんでした。破たんの直接の原因は口蹄疫問題や放射能汚染問題などによる解約の増大、新規契約の大幅な減少。

間接的な原因は日本経済のデフレ傾向(実質的に出資金返済の負担が重くなった)、和牛価格の下落、配当率の高止まり傾向(年8%超の高配当を約束した契約が多く残っていた)、飼養コストの高額化傾向など。


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