国債の格下げに右往左往する当局

 大手格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が、米国債の格付けを格下げしたことで、米証券取引委員会(SEC)がインサイダー取引の疑いで調査を始めたと、英フィナンシャルタイムズが報じている。また、仏金融市場庁もソシエテ・ジェネラルの株価について調査に乗り出すとしており、当局が神経質になっている。

 米国債格下げについては、SECは、S&Pが決定を事前に知り得る立場にあった人物が誰であるかなどを調査しているそうだが、念のためという程度の調査に終わりそうで、英FTは、立件するような材料は何も出てこないのではないか、としている。

 特に内部からタレこみなど情報提供があったわけではないという。

 また、財政赤字の見通しに2兆ドルの誤りがあったという点についても調査する方針を明らかにしているが、米ウォールストリートジャーナルによると、S&Pは予測の違いであって間違いではない、と主張しているそうだ。

 そして、米国債格下げの後に、次は仏国債だとの噂が拡がったことで、ソシエテ・ジェネラル(SG)など仏銀行株が一気に下落したことについて、フランス金融市場庁は、株価に影響を与えた噂について調査に乗り出したことが、ブルームバーグの報道で明らかになっている。

 SGは10日に、約15%も株価が下落し、噂によるものだとして、調査を要請していた。

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