経済産業省の役人の頭の中(下)

原発推進派も今は「推進」と言えないだけ

 再生エネルギー法案は通過の見通しだが、この運用についての議論はほとんど進んでいない。発送電の分離も進めずに、さらには、長期的な展望もなく「買い取り」を決めるだけ。不安いっぱいの運用となりそうだが…。

古賀氏)
 発電とは長期にわたるものなので、長期的に安定したスキームであるかどうかが重要です。経産省は本気か? とよく言われますが、わたしも疑問です。

 原発は今でこそ、波風が高いので推進ということは自民党でも声をあげて言いませんが、また、そっちの方向に行くだろうなと思います。そうなると、再生可能エネルギーは二次的、三次的な存在にすぎないとなって(元に)戻ってしまうのかな、とひじょうに心配になってきます。

 買い取りを決めるだけでなく、全体の電力市場を長期的にどうするか、絵を早く示さないと。原発は何年で廃炉にするとか、そこを再生可能エネルギーで埋めるしかないと決めればメッセ-ジになります。
 
 しかし、そこがフラフラしていて、どうせ原発に行くんだろうなと、買い取ると言っただけでは、長期的には保たなくて電気料金が上がるという脅しで、不安をたくさん残したままやるのは、推進という意味では足りないと思います。

 今、混乱期なので、そんな先の大きなことを言うべきではないという意見もありますが、早く議論して大きな方向性を決めるべきだと思います。経済産業省の役人の頭の中(上)

 後記)今後の事故にも適用できそうな賠償スキームを作り、そして発送電分離などをしないまま、再生エネルギーを推進するという矛盾。やはり、電力会社が企業にとっては最大の「お客様」という存在であるかぎり、今後も今の構造はほとんど変わらないのだろう。電力会社はこうして守られていく?

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