日本一アクセスの多いBermuda氏のヒットブログの作り方

ノンフィクションだけじゃ続かない

 まずBermuda氏は巧妙だと言える点は、自分の意見をストレートに反映させずに、少しパロディー化した登場人物が動くドラマ仕立てになっているところだ。医療界、ひいては産科の厳しい現状をメッセージとして伝えるにしても、その方が食わず嫌いにならずに、読者は入り込みやすい。
 
 「ノンフィクションだけでは、逆にウソくさい感じがします。例えば妊婦の胎盤が剥がれることがあります。これは、1%に満たない確率ですが、元気な妊婦でも突然起こりうるのです。栄養がもらえなくなったお腹の中の子供は亡くなったり、脳性まひになったりします。これは医師同士であれば通じる話でも、知らない人に突然言っても受け入れられないでしょう。だから、登場人物に語らせたり、ピークまでフィクションで持っていったりしています」

 たとえば昨年5月30日の「ガラスのエース」を例に取ってみる。三杉先生(「キャプテン翼」の優秀ながらも心臓に持病を持つ選手がモチーフ?)は腕、人格ともに優れているために人望も厚いが、心臓に既往症がある。それなのに月に8日の宿直勤務をこなしているという設定だ。

 その様子を「このまえもさ 俺の当直が終わって あー、早く帰って仮眠とろうって思ってたら 申し送り中に三杉先生が『うっ』とか言い出してさ。(中略)帰れるわけないじゃん!!」とつづっている。

 産婦人科の現場では医師不足から、病気を持つ医師も自らの体を省みずに働くしかない現状を描いている。しかし、フィクションを交えることによって、嫌悪感がなく感情移入して、その上で医療の世界の問題を自然と考えてしまう。「医師を増やせ、と直接言うよりも、こんな風に他の第三者が語っている方が分かりやすいし、受け入れやすいと思うんですよね」とBermuda氏は説明した。

 ブログとは日記であると同時に、ストーリーテラーとして力量も必要とされる、ということだ。

1 2 3 4
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる